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AIの声のなりすまし詐欺とは? 家族の声でもだまされないための5つの備え

AIで家族そっくりの声を作る「なりすまし詐欺」。声だけでは見分けにくいからこそ、かけ直す・合言葉など、今日からできる5つの備えをやさしく解説します。

夜の窓辺の机にスマホと盾、鍵、観葉植物を描いたクレヨン風イラスト

「お母さん、事故を起こしちゃった。すぐお金が必要なんだ」。電話の声は、たしかに子どもの声。でも、その声がAIで作られたものだったら――。

AIを使って、家族や知り合いの声をまねる詐欺が、海外を中心に注意をよびかけられています。この記事では、どんな手口なのか、そして今日からできる備えを、やさしくまとめます。

AIの声のなりすまし詐欺って、どんなもの?

AIには、ある人の声を録音から覚えて、その人そっくりの声で好きな言葉をしゃべらせる技術があります。これを「ボイスクローン(声のコピー)」と言います。文章や絵を作るAIと同じ仲間です。くわしくは生成AIとは? わかりやすく3行で解説へ。

詐欺をする人は、SNSの動画や、電話で少し話した声などを手がかりに声をまねて、家族のふりをして電話をかけてきます。アメリカの消費者保護の役所(FTC)も、「短い録音があれば声はまねできる。声を信じないで」と注意をよびかけています。セキュリティ会社の調査では、数秒の音声から似た声が作れたという報告もあります。

声だけでは、見分けるのがむずかしい

アメリカで4,100人が参加した研究では、AIの声や人の声を使った「詐欺電話」の録音を聞いてもらいました。すると、本物の人の声を「AIの声だ」とまちがえる人も多く、声だけで見分けるのはむずかしいことが分かりました。

この研究では、だまされやすさを左右したのは、声のリアルさよりも「急いで」「かわいそう」と思わせる話の中身だったと結論づけています(この研究の紹介は10月29日のAIニュースにも書きました)。

つまり、「声がちょっと変だったら気づける」とは考えないほうが安心です。大事なのは、声ではなく話の流れで気づくことです。

よくある話の流れ

なりすまし電話には、似た流れがあります。

  • 事故・ケガ・逮捕・スマホをなくした、などの「困った話」
  • 「すぐに」「今日中に」と急がせる
  • 「お父さんには言わないで」と内緒にさせる
  • 振り込み、電子マネー、暗号資産(ビットコインなど)など、取り戻しにくい払い方を指定する

この中のいくつかがそろったら、それだけで「一度止まる」合図です。

今日からできる5つの備え

  1. 一度切って、自分が知っている番号にかけ直す。 かかってきた番号に折り返すのではなく、電話帳に入っている本人の番号にかけます。つながらなければ、ほかの家族や友だちに確かめます。
  2. 家族で「合言葉」を決めておく。 家族しか知らない質問や言葉を決めて、お金の話が出たら確認します。SNSに書いたことのない言葉にしましょう。
  3. 「急いで」「お金」「内緒」がそろったら、その場で決めない。 本物の家族なら、確かめる時間を待ってくれます。
  4. 知らない番号や国際電話には、出ないことも選択肢に。 「+1」「+44」など「+」で始まる見覚えのない番号は、出ない・かけ直さないのが基本です。固定電話なら、国際電話の着信を止める申し込みもできます(国際電話不取扱受付センター:0120-210-364)。
  5. SNSに声や動画を出す範囲を見直す。 家族の声が入った動画を、だれでも見られる設定で公開していないか、一度見てみましょう。

もし、それらしい電話がかかってきたら

あわてず電話を切って、まず家族に確かめてください。迷ったときや心配なときは、ひとりで決めずに相談できます。

  • 警察相談専用電話:#9110
  • 消費者ホットライン:188
  • すでにお金を払ってしまったら、すぐに使った銀行やカード会社と、警察(急ぐときは110)に連絡を

まとめ

AIで声をまねられる時代は、「声で本人かどうかを判断しない」ことがいちばんの守りになります。かけ直す・合言葉、この2つを家族で話しておくだけでも、ぐっと安心です。今夜の食卓で、ちょっと話題にしてみてください。

参考:FTC(米国連邦取引委員会)、全国防犯協会連合会(AI・SNS詐欺の資料)、Expert Systems with Applications(論文)、INTERNET Watch